2005.03.28
2004.12.07
2004.09.29
『星空から来た犬』
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/原島文世訳/佐竹美保絵
ハリネズミの本箱(四六判)/早川書房
1785円 ISBN:4152500263
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いきおいで『星空から来た犬』に手を着ける。ハヤカワのハリネズミの本箱で、児童書なんである。
星が人格を持ち、怒りっぽいシリウスが法廷で逆上するシーンから始まるので、児童書馴れしてないとちょときびしいかも。しかし犬になってしまえばこっちのもの(どっちの?)。
シリウスというだけに、かれはソル系の地球に追放され、いま生まれようとしている仔犬のなかに閉じこめられる。川に流されたかれを助け、育ててくれるのは女の子、アイルランド人でお父さんが服役中なため、親類の家にひきとられ辛い目にあっているキャスリーンだ。
いや、もう、虐げられる少女って、古典的な定石だけど。大人は自分勝手で、そこんちの男の子たちはあまりに子供で、少女はひたむきで。読み進むうち愛の反対は憎悪でなく無視だよなとかつい考えてしまうのだ。
犬ならぬ犬はおのれを陥れた陰謀をあばこうと頑張るのだが、時に犬としての生に、そしてあるじを想う気持ちに圧倒される。犬もいいなあ、と思ったり。猫も悪役ばかりじゃないのが自分的にはポイント高し。
終幕、子供たちそしてシリウスは決断を迫られて、むかえる結末は苦く、しかし後味はほの甘い。
いや、面白かったけど。この本やっぱり児童向けだし、SFやファンタジーを読んできた大人にSFだから読んでって言えるかっていうと、それはかなり苦しいものがある。
しかし人間と犬に通う情愛のドラマはすばらしく、また、闇を走る犬たちのあるじは、あれなのだ(ネタバレ注意)。うむう、自分的には非常に喜ばしい裏切られかたでした。
動物とくに犬好きの人、児童文学OKなファンタジーファンにオススメなのは言うまでもない。
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