2005.05.30
2005.05.15
『それでもあなたに恋をする エネアドの3つの枝』
雷雨だか雹に気づかず読了。コバルトで中世西欧ふう異世界ファンタジーなので、そのテがダメな人には向きませんヨ。しかしそのテとしては到達点のひとつかもなあ、と思うのは。最近ハーレクインロマンスが読めるようになり(恋愛以外に何か起きる話に限られますが)、中でも特にヒストリカルをさんざっぱら読んだからなのだろう。
いや、ヒロインが寂しさを紛らわすために食べてしまうのだけれど、それはそれと開き直れず、辛い目にあったところで一念発起、痩せてきれいになって再登場するところからハナシが始まる、というのは実にお約束、おきまりのパターンである(笑。
何でぇ、お約束かい、と言うなかれ。お約束を期待する読者が、それを見事にこなした上で面白い作品に魅了され、喜んで次も買うからハーレクインは出続けベストセラー作家も輩出されるのだが、それはさておき。
種類は違うがコバルトにもお約束は存在する。ハーレクインとの差は、破天荒なほど部数がのびる傾向が見受けられるあたりか。まあそれはアニメ後、ライトノベル既成ジャンル後の読者層が主に買い支えているからこその独特のカラーで、ロマンスとしてウェルメイドと感じられる、バランスのとれた作品は、いまひとつの感があるのだ。
著者は《楽魔女》シリーズ以前にも『太陽の石 月の石』など、バランスが心地よい作品をものしていたのだが。本作でもそれは健在だ。ヒデえことを言ってくれた少年のことを忘れられず、意識すればするほどそらごとを言いジタバタしつつも、出自のつとめを忘れないヒロインの、いっそ純朴といっていい思いやる心を忘れないエピソードを積み重ねる手際、そして重ねすぎないところが心地よい。
「三つの枝」の残りふたつとおぼしき女友達キャラに大ヒットシリーズ《楽魔女》の香りが感じられ、これはコバルト的にもイケるんじゃないかなあと思うのである。ま、期待大な感じ。
『それでもあなたに恋をする エネアドの3つの枝』
樹川 さとみ/木々
コバルト文庫/集英社 2005年5月
540円 ISBN:4086005948
bk1 Amazon 楽天ブックス
2005.02.27
2005.02.25
2004.12.23
『暁天の星 鬼籍通覧(1)』
椹野道流/山田ユギ
講談社X文庫ホワイトハート/講談社 2004年12月
725円 ISBN:4-06-255768-1
bk1 Amazon 楽天ブックス
はっと気が付いたらシリーズ長くなってて、手を出しかねてた作家さんなんですが。新シリーズだってんで、書店でパラ見して気に入ったので買ってみたもの。主人公はビジュアル系?らしいんですけど、脇キャラのメインが地味な女性、しかも法医学者だったのも大きかったかな。ちょろりとボーイズラブっぽい味付けはありますが、味付けだけ。
中味はまあ法医学教室を舞台にした謎解き、ちょっと不思議、って感じです。解剖の描写はわりと具体的なので、そういうの苦手な人には向かないかな。わたしはあまりリアルに想像しないほうなので、世話物系の手慣れた感じで、スルリと読了。いや楽しめたんですが。
長編にするには職掌から踏み出さなきゃいけない、それはわかるけど……ちょっとここまでは、というモヤモヤはいかんともしがたい。いや、好みの問題だと思いますがね。
2004.12.22
『わたしたちは天使なのよ! 放課後のファンタジスタ』
久美沙織/船戸明里
EX novels/スクウェア・エニックス 2005年1月
966円 ISBN:4-7575-1348-8
bk1 Amazon 楽天ブックス
久美さんの魔法学校ものだ、と思ったら、なんだ育センの新刊じゃないのね(少なからず落胆。
今度は魔法少女たちでした。その名も聖少女騎士学園、階級は天使の階梯と、なかなか美々しい道具立て、きららかな名前のお茶から始まる話に、久美さんの少女ものはこうじゃなくちゃと頷いてみたり。いや丘ミキは年喰ってからまとめ読んだクチですが、しばらくハマってましたから。
魔女という名につきまとうもろもろにうち勝ってきた先生たちの名前とセリフに思い出すものはありつつ、話の本筋はたぶん聖少女騎士たる少女たちがそれぞれに階梯をひとつもふたつも上がるほうにあるんだと思うわけで。
魔法の力と向き合う育センと比べると、学園内の人間関係に重点があって、ハナシが小気味よく進みます。ほんと、ハリポタが英国児童文学の学園ものの末裔ならば、天使ちゃんたちはただしく日本の少女小説の発展系なんだなあ、と思いました。
それがなぜファンタジスタなのかは……読んでのお楽しみ(笑。
うん、続きがあるならこっちを先に読みたいかもだ。いやあっちも読みたいけど。
2004.12.13
2004.12.10
『ライトノベル☆めった斬り!』
大森 望;三村 美衣
(B6判)/太田出版 2004年12月
1554円 ISBN:4-87233-904-5
bk1 Amazon 楽天ブックス
アマゾンで売り切れていたカレンダーを確保しにいったついでに買ってほぼ即日読了。
ぜんぜんめった斬ってないですが。ていうか『文学賞メッタ斬り!』のフォロワーなのはタイトルだけ、とは前書きにも書いてあるとおりで、内容的にも大森望・三村美衣両氏対談によるライトノベル30年史ですな。これも前書きまんまです。まあこの地味タイトルじゃ売れませんでしょう。
こういう同時代つか同時進行ジャンルだと年月による淘汰がないので、点数絞り込まれないままだし、さらに年間千点新刊が出るとくれば、全体を俯瞰的にとらえることは誰にもできんとワタシも思う。ジャンルの特色つか限界はともかく、それでも小説いや商品としてのレベルとか、気にしてる余裕は作り手にもないだろうし。
いやそれは金取る以上いかがなものか、とは思うが。小説読みの評価はともかく、作品としてはバランスとれてないほうが売れてたりするからな。ほんと。
んでまあ、今把握できてる限りの「ライトノベル的なもの」は、自分の知るかぎりではいつからあったと思うのか、個として読書歴を遡って再確認する、人によりけりというか千差万別の一例的作業になっちまうのはいたしかたのないことで。
いや網羅的な点、また鑑識眼そして表現の鋭さにおいては、両氏以上の適任はいないとは思いますよ。でも、個として考えると、違うのはしょうがない。
この本にもあるように、というか客観的に見てもそうなんだけど、男子向けがライトノベルのメインなんだよなあ。にっかつ映画のたとえは言い得て妙だと思いましたが、まあエロ全般、男女問わず言えることではあります。
ワタクシ実は男子向け方面はたいそう苦手なので、ほとんど何も見ていないようなもんです。今的ライトノベルの頂点として紹介されている『撲殺天使ドクロちゃん』だって読まない、いや読めないでしょう、たぶん。
その意味、歴史と事実関係を知るには貴重な資料と思います。
より以前の記事一覧
- 『星々のクーリエ』(20041206) 2004.12.07
- 『風の王国 女王の谷』(20041204) 2004.12.05
- 『丘の上の愚者 ヴァムピール・アリトス』(20041202) 2004.12.03
- 『吉永さん家(ち)のガーゴイル 5』(20041110) 2004.11.13
- 『三千世界の鴉を殺し 9』 2004.11.10
- 『三千世界の鴉を殺し 10』 2004.11.10
- 『シャリアンの魔炎 4』(20041109) 2004.11.10
- 『流血女神伝 暗き神の鎖(後編)』(20041109) 2004.11.10
- 『レギ伯爵の末娘』(20041109) 2004.11.10
- 〈マジカル・シティ・ナイト〉 2004.10.19
- 『隻腕のサスラ 神話の子供たち』(20041015) 2004.10.16
- 『吉永さん家のガーゴイル4』(20041012) 2004.10.15
- 『運命は剣を差し出す 2 バンダル・アード=ケナード』 2004.10.13
- 『スター・ハンドラー (上)』 2004.10.12
- 『彩雲国物語 想いは遥かなる茶都へ』(20041006) 2004.10.07
- 『Edge 4 檻のない虜囚』 2004.10.03
- 『ダブルブリッド 5』(20041001) 2004.10.02
- 『ダブルブリッド 7』(20041001) 2004.10.02
- 『ダブルブリッド 9』(20041001) 2004.10.02
- 『マジカル・シティ・ナイト Vol.4 天空の敵』(20041001) 2004.10.02
- 『ビートのディシプリン』 2004.09.24
- 『風の王国』 2004.09.19
- 『風の王国 天の玉座』 2004.09.19
- 『ここは魔法少年育成センター(3)』 2004.04.07
- Books:『神を喰らう狼』 2004.04.06
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