2004.12.18

『男の民俗学 1 職人編』(20041216)

男の民俗学 1 職人編遠藤ケイ
小学館文庫/小学館 2005年1月
630円 ISBN:4094116214
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1980年から『ビッグコミックオリジナル』に連載された人気シリーズ『男の民俗学』の文庫化。全3巻。著者の手になるイラストで、職人さんたちの様子が記録されている。写真より生々しい感じがするのは不思議なもんだ。

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2004.12.05

『4時のオヤツ』

4時のオヤツ杉浦日向子
(四六判)/新潮社 2004年11月
1365円 ISBN:4104259039
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「ごくらくちんみ」甘味編。ひたすら食い物しかも甘いモノネタな短編がぎっしりと。
珍味編との違いが顕著なのはひたすら会話だということだ。酒とサカナには独酌という言葉もあるごとくひとりも似合うものだが甘味は違うのか。いやひとり喰いのむなしさは、ひとり酒にもいや増して……てな話はおいといて。
地の文はなくても、たとえばカステラに餡をはさんだシベリアをともにするごとく、なじんだどうしのやりとりからいつしか、昭和の東京が情景としてうかぶという具合。いや、なかなか。
甘いもの系は覚えある品も多く、巻末のリストで昔よく行った店の閉店を知って驚いたり。エスワイルのサバランをもう一度食べておくんだったな、とか、本とはあんまし関係ない懐旧の念をそそられるのは、まあ東京歩きの雑誌「東京人」連載ならではだろうか。そこに「ソフィア」への連載を足した一冊。
昭和の東京を覚えている人、また縁もゆかりもないけど知りたい人なら、まったりと過ごしたい午後におすすめ。

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『ごくらくちんみ』

ごくらくちんみ杉浦日向子
(B5変形)/新潮社 2004年9月
1260円 ISBN:4104259020
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新しい『百物語』と惹句にあったのだが漫画じゃなく小説。しかも江戸ものでなく、現代の、物喰う短い話をたくさん集めてある。小説新潮の連載が本になるのに六年掛かったんだそうな。
モノは、そう、からすみとかキャビアとか豆腐よう、珍味つまりは酒のサカナだ。酒好きサカナ好きの人は読みながら、つい、手が杯を探してしまうのではあるまいか。
誰かと語らい、稀にはひとりで酒を酌む時間が、心を潤し、内なる何かを涵養する。そのひとときが、短い話につなぎとめられているから。
じつは亡くなった父は下戸で、珍味系の味に親しまず味覚ができあがったせいか、自分ではあまりうまいと思ったことはないのだが。
ひとつだけ、この本の金鍔の味は知っている。今年の夏、友人に連れていってもらったのだ。店の場所は覚えきれなかったが、餡子の味は忘れるものでもない。たしかにあれなら酒も飲めそうだ。
(20041006)

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2004.11.09

『書物の敵』それは……紙魚?いやいや

書物の敵ウィリアム・ブレイズ/高宮利行監修/高橋勇訳
(A5判)/八坂書房 2004年10月
2400円 ISBN:4-89694-849-1
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書物の最大の敵は火、そして水、さらに人間である……(汗。
愛書家にして印刷人の著者が自らの好むところと、やるかたない憤懣を語った本がなぜベストセラーか不思議ではあったのだが。
つまりまあ、ヴィクトリア朝英国では識字率は上がり貸本屋もチャッププックもあったけど、ひとかどの蔵書を持つほどの愛書家は中流以上の知識人男性に限られていた時代であり、そういう人たちには共通する悩みであったから、ということだろう。自然科学系の観察や分類方法が徹底していない時代でもあるのは言うまでもない。
そして、本がまだ修理されては使われる耐久消費財だった時代の話ではあり、消耗品になりつつある時代の人間としては羨望と安堵を半ばとする複雑な心境にとらわれるのであった。

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2004.10.22

『ぬっとあったものと、ぬっとあるもの 近代ニッポンの遺跡』

ぬっとあったものと、ぬっとあるもの鎌田東二ほか
(A5判)/ポーラ文化研究所 1998年10月
1575円 ISBN:4938547392
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カバーの大船大仏に記憶を刺激される人もいるでしょう(汗。ひとの住む町にスケール感の異なるサイズでそびえ立つ高い建造物を扱った本。大仏や回転展望台(レストラン含む)、太陽の塔とか東京タワーにゴジラまで。
写真たくさんで、どことなく可笑しみのあるところは『新 正体不明』を思わせるんだけど。ついてるのが路上観察学会的な、思わずクスっと来てしまうひねったキャプションじゃないんですな。
それぞれに美術史的、あるいは建築史的、はたまた民俗学的にアプローチする専門家の解説なので、ちょっと手こずりました。調査はさすがに行き届いて、それぞれの来歴には読みふけってしまうのですが。
トマソン的興味しか感じないのはやはり実物ほとんど見たことないせいもあるだろうが。ゴジラも埋没するビル街に馴れちゃってると、むしろスケール感のほうが変化していると言えるのかも。
ええとポーラ研究所が出していた「is」(~2002年9月刊第88号)の別冊と聞けば、なるほどと思う内容なのかも。ちなみに図書館の本でした。

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2004.10.16

『「装飾」の美術文明史 ヨーロッパ・ケルト、イスラームから日本へ』(20041015)

「装飾」の美術文明史鶴岡真弓
(四六判)/日本放送出版協会 2004年9月
2310円 ISBN:4140808969
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教育テレビの人間大学、だったかな、「装飾の美術文明史」という講座がありまして。
その講座の内容をもとに書かれた本だそうな。そういう派生本これまで結構ありましたけど、NHKは出さないもんだと思ってたので、ちょと驚き。

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『へんないきもの』(20041013)

へんないきもの早川 いくを
(四六判)/バジリコ 2004年8月
1575円 ISBN:4901784501
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わたしの好きな『鼻行類』『平行植物』とは違って実在の、しかし十分信じがたい生き物を扱っている本。おしむらくは挿し絵がカラーでないことか。いやフルカラーにしたら価格もしかして倍ですけどね。(20041016)

うむう持ち歩きつつ読了。水棲腔腸動物や軟体動物、陸水問わずの昆虫が多かった。
ダイビングをする人なのでは、とは思ったが、考えてみれば恒温で内骨格の哺乳類では、薄っぺらかったり極端に手足長かったりするにはムリがある。形の自由度に制約が大きいわけで、信じがたいカタチというと種にかたよりが出るのはあたりまえかもだ。トリビア的に素直に読んでヨシな感じで。

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