2005.04.05
2005.02.25
2005.02.24
2005.02.23
2005.02.20
『熊の場所』からとりかかる。
荒れ模様の土曜、いや春めいていた木金との落差も大きかったが、もうキャンセルきかないこの日に限ってこの天気ってどうよ、な感じで。綿入れロングコートだとガシガシ歩けば体温は上がるが寒風でハナが垂れる。あああ。
無事電車に間に合い、持参の本を開けば、舞王城太郎なのである。『熊の場所』である。はまってる友人が貸してくれたもの。ありがたや。
ううむ、結局、ドライヴ感なのかなあ、と。自分的感想はそれに尽きる。いや言葉の意味もよくわかんなくて使ってるわけですが。まあ、読み手のコンディション問わないであろう読み進みやすさ、どこかに連れて行かれ感では近来にない強さで面白かったです。結末の放っとかれ感も、まあこの長さ(中編まで)ならヨシ。
ドライヴとくれはグルーヴ、タメとモタりとどう違うの、って、そのへんがないと、もっと長い話は厳しいですな。あたりまえだけど。
乗り換えうまくいって読了できず、残り5%で到着。いや吹きさらしで待たずに済んでほんとうに良かったけど、もう残りが気になって気になって。人前で読んでしまい「可愛い本ですね」と話題をフられ、返答に窮する。いやタイポでピンクのテディベアのカバーにね、なっておるわけですよ。でも中味がナニですから(絶叫。白昼公衆の面前では詳説できませんでした。残念。
『熊の場所』
舞城王太郎
講談社ノベルス/講談社 2004年12月
819円 ISBN:4-06-182407-4
bk1 Amazon 楽天ブックス
2005.02.16
『アフターダーク』、闇のむこう。
今更だが『アフターダーク』を読む。「雲のむこう、約束の場所」に明示されていたので気にしていたら、友人が貸してくれたので。いや持つべきは友。
始まりはまだ闇のさなかである。東京のどこか、どことも知れぬ街の夜の「この」世界を言葉は細部まで描いていくが、その細部に意味は生じない。どの支店もおなじファミリーレストラン、料理はどこで何を糧として育ってきたか見当も付かない食材で作られている。「トーストをカリカリに」することすら叶わないほどマニュアルどおりに。
ただそこが都会で、終電もない深夜であるというだけで、凡庸な読者には非日常ではあるのだが、ともあれ、そこが作品中の「この」世界だ。深夜のファミレスで小難しい本を読んでいる女子高校生が徹底的に地味づくりで、すいっと同席してしまう男が徹夜練習を控えたアマチュアミュージシャンである、というような細部がハルキっぽさかなと思いつつ読み進む。
そしてここではないどこか、「向こう」の世界がある。作中触れられる映画「アルファヴィル」のように、理解を絶した、白い光と黒い闇のおりなす、ブラウン管の堅い表面にへだてられているはずの世界が、徐々に「この」世界を侵食してくる。読者の関与を許さないまま。
あたりまえだ、これは小説なのだから。
しかしその読者視点を意識させるカメラ視点の隔絶感をも取り込んで、侵食は巧みに描かれる。
映画と同じ名前のホテル、同年代で毛色も肌色も同じなのに、二度と触れ得ないであろう異国人の娼婦。プリペイドケータイの向こうで、相手構わず威嚇する声。目ざめぬ美女の、とざされた眠り。
その過程、そして希みを読みとらせるしめくくりは流石だと思うが。
そこに至る動因が説教なのには、いささかがっくり来たワタクシでした。いやまあ、いや結末まで至れば、この作品に幻想的な深部はないのだと分かるし、整合するんだけどね。
まあこの長さなら、描写に付き合うのも悪くない。でも自前で1470円はちょっと無理(汗。
『アフターダーク』
村上 春樹
(四六判)/講談社 2004年9月
1470円 ISBN:4-06-212536-6
bk1 Amazon 楽天ブックス
2005.02.15
2005.01.15
2005.01.09
より以前の記事一覧
- 『ボーナス・トラック』(20041222) 2004.12.24
- 『ラス・マンチャス通信』 2004.12.23
- 『アバラット』 2004.12.15
- 『魔法探偵』 2004.12.14
- 『グノーシスの薔薇』(20041213) 2004.12.14
- 『アーサー王物語 1』(20041213) 2004.12.14
- 『児童文学における〈ふたつの世界〉』(20041212) 2004.12.13
- 『ブルータワー』 2004.12.02
- 『ゴジラ』(20041129) 2004.11.30
- 『呪文の織り手 デイルマーク王国史 3』 2004.11.27
- 『金毘羅』 2004.11.26
- 『まぶた』に宿る黒。 2004.11.17
- 『王狼たちの戦旗 上 〈氷と炎の歌 2〉』(20041113) 2004.11.14
- 『王狼たちの戦旗 下 〈氷と炎の歌 2〉』(20041113) 2004.11.14
- 『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』 2004.11.11
- 『指輪物語』人生のバイブル。 2004.11.04
- 『聖なる島々へ デイルマーク王国史 2』(20041029) 2004.10.30
- 『オットーと魔術師』 2004.10.26
- 『ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」』 2004.10.24
- 『畸形の神 あるいは魔術的跛者 』 2004.10.05
- 『世界の涯の物語』そのほか 2004.05.10
- Books:『しゃばけ』畠中恵 2004.04.06
- 『家守綺譚』 2004.03.31
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