2004.12.13

『愛のうずしお』

山田ミネコ/サラ・クレイヴン原作
エメラルドコミックスハーレクインシリーズ/宙出版 2004年10月
630円 ISBN:4-7767-1375-6
@nifty:Books bk1 Amazon 楽天ブックス

うずしお。いや鳴門海峡や洗濯機じゃないんだし満ち潮だと思うんだがとかいうツッコミはおいといて。
山田ミネコさんのコミック。いやほんとにひさしぶり。
いやまあ、ハーレクインロマンスの漫画化なんですが。いまや専門誌だって専門レーベルだってあるんですな。さすがにそこまでチェックしてなくて、友人にQで教えてもらいました。
両親を亡くした女の子が画家の夢やぶれて親戚のところから家出して、名前しか知らないけど亡き母の絵を保存してくれそうな富豪を尋ねていくところから始まるストーリーは、なんというかロマンス小説らしいんですが。
元気のいい女の子が良かれと思っていろいろしでかしてしまう話がなんか昔のアリス・シリーズみたいな。懐かしくも楽しかったす。

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2004.12.07

『前田建設ファンタジー営業部』

前田建設ファンタジー営業部前田建設工業
(四六判)/幻冬舎 2004年11月
1300円 ISBN:4-344-00706-9
bk1 Amazon 楽天ブックス

昼過ぎ届いて、一気に読んでしまう。物足りずサイトでWeb版を読み読み。いかんこれ面白すぎ(汗。

SFファンタジー系の作品には、これできるんかいという建物が数々登場するわけですが。それを実際作るとしたらどうなるか、夢は実現できるという大前提で、堅実な建設会社が受注のために見積もりを作ってみたらこうなりました、という企画なのである。会社も本物、内容大マジ。いや、楽しませてもらいました。

ぜひ999編も本にしてほしいです。
非現実的と片付けるだけじゃ、物足りないのよ(笑。

それにしても、夢があるってプラスの意味で「ファンタジー」って名付けられるとは。
名前としてメジャーになったもんです。

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2004.11.29

「雲の向こう、約束の場所」

公式サイト
2004年 日本
原作・脚本・監督:新海誠
キャラクターデザイン・総作画監督:田澤潮
美術:丹治匠・新海誠
音楽:天門
声の出演:吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香、石塚運昇、井上和彦、水野理紗

……青い。
アニメの空はどこまでも澄み渡ってあかるく青く、時折かげり、遠雷がひらめき響き、掃かれたような雲の上を、白い飛行機が飛ぶ。見上げるはずが、吸い込まれそうになる。
ハナシもまた、青かった。まあ「ほしのこえ」を知るひとならば先刻承知だろうが。
たぶん第二次大戦後、ちがう歴史をたどった戦後。南北問題は日本にも生々しくある。昔北海道と呼ばれた地域は北、津軽海峡を挟んで南は米日と分かたれており、離散家族問題もあるようだ。
いや、ようだ、となってしまうのは、世界が今ひとつ掴みにくい作品であるからで。
1時間半の長さなのに物語はほぼ三人の主人公たち――ヒロキ、タクヤ、サユリのやりとりに限られ、大人キャラはかれらのハナシを進めるのに世界と触れる必要がある部分だけに限られる。それ以外のよりどころは、家族すら、かれらにはないように見えるのだ。

眠りの夢ばかりではない、現実のかれら自身のよりどころが、あの遠い夏の日の約束しかないのだとしたら。果たされた後はどこに向かうのか。
不安ははっきり台詞にもあるのだが。後日の様子は明示されないまま物語はおわってしまう。

おたがい以上に意味のあるコトやモノ、ましてヒトなんてないフタリの話っていうと……映画「バトル・ロワイアル」くらいまで遡ってしまうのは、恋愛以外目立つイベントのないハナシはめったに読んだり観たりしないから、なのだが。いやまあ苦手なので。
もちろんバトロワは老監督(と敬意をこめて呼ばせていただく)が、かくあれかしと願う気持ちがこめられた映画であるわけで。やっと三十路の新海誠氏が、てらいなくこういう話を描けることに、正直、驚嘆した。いやはや。

たまには細かいツッコミは忘れて、美しい空が見たいと思う人にはおすすめ。
(渋谷シネマライズ 2004.11.28)

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