2004.11.19

『ロード・オブ・ザ・リング 『指輪物語』完全読本』

指輪物語完全読本記事タイトルにしたのは映画公開を機に角川書店から出た改訂新版(2002.2)。
文庫もあります。
とら君こと、旧友はぐれ狼のブログでコメントつけまくっていて。リン・カーターの話から、旧版『トールキンの世界』(品切れ?)とどれだけ違うか気になりだして本の山を掘り返す。案の定みつからないのだが、ふと気が付くとデスクの奥のトールキン専用棚に立っている<アフォ。
いや気を取り直して。
『指輪物語』を読むと、こう、どこかひっかかる部分があるのだ。指輪そのものであったりとか、『ホビットの冒険』に出てくるドワーフたちの名前とか、独力で気づいた人も多いだろう。
そう、北欧神話だ。解説本とか、時には「古エッダ」の翻訳そのものをかたわらに、名前探しに興じるのもなかなか楽しいのである。と、リン・カーターもこの本に書いている(笑。
ヒロイック・ファンタジー作家にして幻想文学好きで、アダルト・ファンタジー・シリーズ(バランタインのあれ)編纂まで手がけたくらいの人ただしプロの物書きが、現実の神話伝説に添って好きなだけトールキン世界を掘り下げた本、と書いてみると、すごい楽しそうだが。じっさい楽しいっす(笑。いや、トールキン作品好き、神話伝説ほじくり好きならね。
今なら類書もあるのですが、コストパフォーマンスならこの本の文庫版でしょう。
新旧ざっと見比べてみましたが、大きい違いは旧版の原著者序が新版では訳者の序文に差し替えられてるくらいでしょうか。原書刊行は1969年ですから、しかたない部分はあるかと。
ほかに、新版序文によれば、構成を入れ替えたとあります。
巻末リストもアップデートあり。たとえば妖精文庫(版元廃業)収録作品を、ちゃんと追尾してあります。
うむ『シルマリルの物語』入ってるけど『ブリジンガメンの魔法の宝石』と差し替え?かな。
エルフ語名前の音訳など、それエルフ語の発音違いますよ的部分はあるんですが。そのへんは細かく言い出すときりがないので、このへんで(笑。

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2004.11.17

『ファンタジーの歴史』特典追加。

きのうの日記「訳者特製メルマガ?」に書いておいた『ファンタジーの歴史』予約どうしたっけとオンライン書店を見に行ったら、bk1とBooks@niftyではメルマガ1通は予約特典として書かれていたのを発見。アマゾンは2~6週以内発送と既刊扱いでした。楽天は予約受けてないですな。
Books@nifty bk1 Amazon
なお東京創元社の直販はブックサービス経由で、代引きのみ。手数料210円かかります。予約申し込み多数の場合は12月初旬発送予定が更に遅れるかもしれません、ということです。
さて、どうします? いやワタクシはもう特典に釣られましたとも。ええ、もう、すぱーんと一本釣りで。

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『まぶた』に宿る黒。

まぶた小川洋子
新潮文庫/新潮社 2004.11
420円 ISBN:4-10-121522-7
bk1 Amazon 楽天ブックス

本屋大賞、鏡花賞効果か、文庫があちこちで出てます。bk1はてなだったか、美しい話を読んだ気になるんだけど黒い、というのが気になって手に取ったら戻せなくなり(汗。(20041108)
よせばいいのにキッチンで読み始めてしまい、やめときゃよかったと思うのは読み進んでしまった後。いや後でするから後悔っていうんだよ、とかセルフつっこみしながら読了。
たしかに黒いというか、ふと気が付いてのぞき込むと底の見えない真っ暗な穴があるような、そんな短編ばかりだった。それは日常的というか、ささいで身近とも思える錯誤の重なりの影にあって。多くオンナの愚かしさや、ずるさから成り立っているのだが。その容赦のないことといったら、同性ならではかもしれない。
もっとも、穴の側で立ち止まってのぞき込みさえしなければ、描かれる世界は異様さを孕みつつも、あかるく広がって終わるのだ。
ああそうかと、今にして『ブラフマンの埋葬』を思い出す。いやうろ覚えですけども。
犬のようになつくブラフマンの正体不明っぷり、また主人公がそれをそのままに置くありかたが、はかり知れない孤絶感を覗かせるのだ。黒いといえば、黒いかもしれない。
いや、それも有りかと思わせる作品世界の明澄な空虚が、ほんとうはおそろしいのかもしれないが。

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2004.11.16

訳者特製メルマガ?

リン・カーター『ファンタジーの歴史』の発売が11月27日、その前に東京創元社からメールマガジンが来た。時々やってる直販限定のサイン本じゃなくて、サイトの直販で予約すればオリジナルのおまけが付くという。翻訳家にしてアンソロジスト、中村融さんによるマニアックな内容なのだが、媒体はメールマガジンである。
これがたいへん胸おどっちゃうリストとかあるのだが、詳しくは東京創元社公式サイトのお知らせページで。発送は12月上旬だそうです。
……たのしみだ。ていうかリスト見ると、たぶんまた本が増えちゃうんですね。
それ以前にオンラインショップに予約してないか確かめなくちゃ。

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2004.11.11

メルマガチェック。

きのう出かけていたので、10日付メルマガを今日チェックしてたり。

東京創元社から、サイト更新告知も兼ねたお知らせ。

なになに、来月から異世界ファンタジーの新シリーズが始まるとな。
 →『騎士(シヴァルリ)の息子』
剣と魔法の異世界を支配するのは遠視者(ファーシーア)の一族で、主人公は王子の息子ながら、出自と母の死ゆえに顧みられず育った庶子。ふむふむ、国難にあって表舞台に出ることになるんだな。スケールの大きいっぽい話である。
予告によれは年1ペースのようなのは、そのたび読み返さないと思い出し力低下で、ちょとキビシイかもだが。
今月の注目は自分的にはお待ちしております『ファンタジーの歴史』『呪文の織り手』。その次に『容疑者たちの事情』かと。

つづいて新潮社から新潮新書メルマガ
新刊速報だけでなく、編集長エッセイ、編集部のエッセイで構成されていて、毎回発見があるというか、勉強になる。
いや林不忘、牧逸馬、谷譲次は知ってても、同一人物とは存じませんでした。がっくり<恥。
オンデマンドで再刊されている牧逸馬の実録ものは読んでましたが、紹介されてる谷譲次名義の「めりけんじゃっぷ」ものは未読。みすず書房だが〈大人の本棚〉のセレクション版『テキサス無宿/キキ』なら、今でも買えるなあ。うむ、面白そうだ。
こちらはメルマなのでバックナンバー参照できるのが便利。
ただ、申し込むと熱心な宣伝メールが来ちゃって、いちいち解除しないといけないのが面倒かなあ。
いや、それが役に立つこともあるし、そういうときはいいなと思うけど。

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『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』

すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた〈プラチナ・ファンタジイ〉
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア/浅倉 久志訳
ハヤカワ文庫FT/早川書房 2004年11月
588円 ISBN:4150203733
bk1 Amazon 楽天ブックス

帰途、中距離列車で座れないまま『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』を読み通す。
キンタナ・ローにはマヤ族のひとびとが住んでいる。ユカタン半島の東岸、本土からは密林の果てにある岸辺に、波は繰り返し打ち寄せて、あらゆるものを持ち来たり、その深みに運び去る。もっとも、波のひとうちはそれぞれ異なるはずで、この連作集にはキンタナ・ローを舞台とした3本の短編が収録されている。
しかし、一読して思うのは、繰り返しの無限だ。太古から続く悠久に、二百年なにがしの歴史しかない国から来た客は何を思うのか。おおかたの客は心地よい暮らしをそのまま旅先にも持ち込んで、つかの間の楽しみを追い求める観光客なわけだが。それでは見えないもの(あるいは、見ようとしないもの)に魅せられる人もある。たとえば「リリオスの浜に流れついたもの」の青年は、救おうとした美女でも報酬としての富でもない、心から望むものに触れてしまう。それを望んでいたことすら知らぬままに。
著者は波の彼方に悠久と超越を目にしたのか、あるいは願っただけなのか、まあ、それはどちらでもいいことだと、読んだ今では思うのだ。
その名に惹かれる人は、既に虚心にこの本を読むことはできないはずで。ワタクシですら、当事者として体験するのでなく、語り聞かされるカタチをとるのにも、いや排除とか否定というと強すぎるのだが、帰属しない地にある感覚に、仮託されていないかもしれない何かを探してしまうのだが。
そんなことは抜きで、ただ書かれてある異邦の物語として、まずは読むのがよろしいと思われる。(20041111)

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2004.11.10

『太陽系七つの秘宝 謎の宇宙船強奪団』(20041109)

キャプテン・フューチャー全集 3《キャプテン・フューチャー全集 3》
エドモンド・ハミルトン/野田昌宏訳
創元SF文庫/東京創元社 2004年10月
1260円 ISBN:4488637132
bk1 Amazon 楽天ブックス

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『三千世界の鴉を殺し 9』

三千世界の鴉を殺し 9津守 時生/麻々原絵里依
ウィングス文庫/新書館 2004年11月
609円 ISBN:4403540848
bk1 Amazon 楽天ブックス

いやなんか予告と違いませんかと思いつつ(小説ウィングスは読んでないので前巻のあとがきのことです)、バカ笑いしつつ読了。読みつつオボロにしか前巻までの内容思い出せない自分はいかがなものか。
ボーイズラブのツボを押さえつつ、最後にはハズしてオチがつく展開は楽しいのだが、そのテのツボに耐えられない人にはもちろん、ツボを押される人もハズしっぷりに耐えられないかもしれず、かなり勧める人を選ぶシリーズ。
しかしまあキャラの立ちっぷり、主人公の部下タラしっぷりはたまりませんね。もそっと、こう、話が進んでくれれば愛読者としては言うこと無し。(20041109)

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『三千世界の鴉を殺し 10』

三千世界の鴉を殺し 10津守 時生/麻々原絵里依
ウィングス文庫/新書館 2004年11月
609円 ISBN:4403540856
bk1 Amazon 楽天ブックス

二冊同時発売とはどうしたことかとぼんやり思いつつ、続きを嬉しく読了。
いやまあ、以前からあとがきでも「逆セクハラ」と連発されてましたが、その意味この巻は極北かもね。
とりあえず、続きが読みたいです。(20041109)

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『シャリアンの魔炎 4』(20041109)

シャリアンの魔炎 4ゆうきりん/高屋未央
コバルト文庫/集英社  2004年11月
540円 ISBN:4086005050
bk1 Amazon 楽天ブックス

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