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2004.04.18

オーシャン・オブ・ファイアー

『オーシャン・オブ・ファイアー』 公式サイト

この映画はひどくストイックなのだ。アメリカ中西部の荒野を、また砂塵吹きすさぶアラビア半島の砂漠を、主人公こと実在にして伝説的なカウボーイ、長距離を得手とする騎手のフランク・ホプキンスはひたすら進んでいく。愛馬ばかりを道連れに、はるか遠くまで。
そして砂漠は非人間的なまでに美しい。
ハリウッド的サービスたっぷりのアクションシーンが浮いて見えてしまうほどに。
CMとは裏腹に、娯楽大作だと何だか物足りない人向き。
あと、馬が好きな人はとりあえず行っとけ的な。
主人公の相手役(笑)のムスタング、こいつが可愛いんだわ。ヴィゴ・モーテンセンはメインの馬をまた譲り受けたんだというけれど、情が移るのは分かる気がする。うむ、一言で言うと、ヴィゴはとっても馬が好き、てな映画でした(笑。

(以下ちょっと踏み込んだ話。内容について知らないまま観たい人はここでやめるよろしい)

序盤、物語は『ラスト・サムライ』をなぞるように展開する。しかし救済は外的なサムライでなく、内在するかれ自身――遠く離れた故郷の地と不断のつながりを保つ先住民としての自分と向き合うことでもたらされる。かれの愛馬、ヒダルゴが助けてくれる。
ただその真意が奈辺にあるのか、実は最後まではっきりしない。速く遠くまで走れる騎手であるがゆえにもたらした惨劇の夢にうなされて酒に溺れる日々から抜け出したい一心だったのか、はたまた、もう一度レースに勝てば、それに立ち向かえる強さを取り戻せると期待したがゆえか。最も過酷なレースが遥か彼方に目をやることで見ないようにしてきたほんとうの自分と向かい合う力と機会を与えてくれると思ったのか、それとも単に賞金目当てで、馬を助けたかったのか。
重圧に耐えているような表情の乏しさも手伝って、主人公がひどく受動的に見えるからかもしれない。
ラストにカタルシスはあるのだが。死の運命から解き放たれるのは先住民たちではない。物語のうえだけでも、そこに救いがもたらされることはないのだ。ここもまた『ラスト・サムライ』を思わせるのだが、これはおそらく、アメリカの現在の反映なのだろうと思う。

TVCMで言ってる何とかの教典を求めてってのは大勘違いっていうか、たしかに秘伝の文書は出てくるし盗まれるけど、それを探す波瀾万丈血湧き肉踊る冒険の映画ってわけではないので。ていうかCM何回も観てると、そう思っちゃうんだけどね。
いや宣伝はある意味ハッタリ勝負ってのは分かるんだけど、程度はあるのでは。
まあ、アクションてんこもりの娯楽大作みたいだから、たまの休みだし映画でも見るかと映画館に行く人がいちばん多いだろう。今の日本だと。それはわかる。家人もそうでした。
ストイックな内容を告知したら……それでも敢えて観たいと思う人よりは、退屈そうだし別に観なくていいやと思う人のほうが、たぶん多い。それもわかる。
別にいいやと思われたら販売戦略としては負けなんだろうと思う。
しかしストイックさがワタクシ気に入ってしまっただけに、程度というものが(エンドレス)

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