Books:ヨーロッパ自動車人生活
『ヨーロッパ自動車人生活』 1600円(税抜)
永島 譲二 A5判/二玄社
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二玄社でタイトルに自動車とくればアアと分かる人は多いだろう。ハイエンド(笑)輸入車雑誌カーグラフィックに連載された、現役自動車デザイナーのエッセイを2002年春にまとめたものである。CGやらナビやら買っていた家人が図書館から借りてきて、読め読めというので、たまには付き合いで。
二十年前のオペル入社当時の社食のおそろしさ、不器用無骨生真面目なドイツ人の食生活の恐るべき簡素さから語り起こし、ライフスタイルから社会的背景、やがて移籍したルノーの社食、さらに自動車デザインに見る「フランス車らしさ」へと掘り下げられていく語り口は『イギリスはおいしい』ばりで、いや、おそれいりました。オチまである。
オチの部分をつくづくと見るに、外国の実相を知れば、日本を考えざるを得ない。
ルノー公団は著者の入社した前後に二万人のリストラを行う一方で、社長の一存で25人の秘密の採用枠を設けていたんだそうである。そのひとりが、日本人デザイナー永島氏と言うから驚く。ルノーは長年日本嫌いだったというのに。
ドイツのスーパーでさえ二十年の間には変わり、現F1チャンピオンのようなニュータイプドイツ人を生み出したんだそうである。
じゃあ日本はどうなのよ、どうするのよと考えつつ、答えは出せないまま、本は終わってしまうのだが。
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