『ごくらくちんみ』
杉浦日向子
(B5変形)/新潮社 2004年9月
1260円 ISBN:4104259020
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新しい『百物語』と惹句にあったのだが漫画じゃなく小説。しかも江戸ものでなく、現代の、物喰う短い話をたくさん集めてある。小説新潮の連載が本になるのに六年掛かったんだそうな。
モノは、そう、からすみとかキャビアとか豆腐よう、珍味つまりは酒のサカナだ。酒好きサカナ好きの人は読みながら、つい、手が杯を探してしまうのではあるまいか。
誰かと語らい、稀にはひとりで酒を酌む時間が、心を潤し、内なる何かを涵養する。そのひとときが、短い話につなぎとめられているから。
じつは亡くなった父は下戸で、珍味系の味に親しまず味覚ができあがったせいか、自分ではあまりうまいと思ったことはないのだが。
ひとつだけ、この本の金鍔の味は知っている。今年の夏、友人に連れていってもらったのだ。店の場所は覚えきれなかったが、餡子の味は忘れるものでもない。たしかにあれなら酒も飲めそうだ。
(20041006)
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