『4時のオヤツ』
杉浦日向子
(四六判)/新潮社 2004年11月
1365円 ISBN:4104259039
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「ごくらくちんみ」甘味編。ひたすら食い物しかも甘いモノネタな短編がぎっしりと。
珍味編との違いが顕著なのはひたすら会話だということだ。酒とサカナには独酌という言葉もあるごとくひとりも似合うものだが甘味は違うのか。いやひとり喰いのむなしさは、ひとり酒にもいや増して……てな話はおいといて。
地の文はなくても、たとえばカステラに餡をはさんだシベリアをともにするごとく、なじんだどうしのやりとりからいつしか、昭和の東京が情景としてうかぶという具合。いや、なかなか。
甘いもの系は覚えある品も多く、巻末のリストで昔よく行った店の閉店を知って驚いたり。エスワイルのサバランをもう一度食べておくんだったな、とか、本とはあんまし関係ない懐旧の念をそそられるのは、まあ東京歩きの雑誌「東京人」連載ならではだろうか。そこに「ソフィア」への連載を足した一冊。
昭和の東京を覚えている人、また縁もゆかりもないけど知りたい人なら、まったりと過ごしたい午後におすすめ。
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