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2004.11.29

「雲の向こう、約束の場所」

公式サイト
2004年 日本
原作・脚本・監督:新海誠
キャラクターデザイン・総作画監督:田澤潮
美術:丹治匠・新海誠
音楽:天門
声の出演:吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香、石塚運昇、井上和彦、水野理紗

……青い。
アニメの空はどこまでも澄み渡ってあかるく青く、時折かげり、遠雷がひらめき響き、掃かれたような雲の上を、白い飛行機が飛ぶ。見上げるはずが、吸い込まれそうになる。
ハナシもまた、青かった。まあ「ほしのこえ」を知るひとならば先刻承知だろうが。
たぶん第二次大戦後、ちがう歴史をたどった戦後。南北問題は日本にも生々しくある。昔北海道と呼ばれた地域は北、津軽海峡を挟んで南は米日と分かたれており、離散家族問題もあるようだ。
いや、ようだ、となってしまうのは、世界が今ひとつ掴みにくい作品であるからで。
1時間半の長さなのに物語はほぼ三人の主人公たち――ヒロキ、タクヤ、サユリのやりとりに限られ、大人キャラはかれらのハナシを進めるのに世界と触れる必要がある部分だけに限られる。それ以外のよりどころは、家族すら、かれらにはないように見えるのだ。

眠りの夢ばかりではない、現実のかれら自身のよりどころが、あの遠い夏の日の約束しかないのだとしたら。果たされた後はどこに向かうのか。
不安ははっきり台詞にもあるのだが。後日の様子は明示されないまま物語はおわってしまう。

おたがい以上に意味のあるコトやモノ、ましてヒトなんてないフタリの話っていうと……映画「バトル・ロワイアル」くらいまで遡ってしまうのは、恋愛以外目立つイベントのないハナシはめったに読んだり観たりしないから、なのだが。いやまあ苦手なので。
もちろんバトロワは老監督(と敬意をこめて呼ばせていただく)が、かくあれかしと願う気持ちがこめられた映画であるわけで。やっと三十路の新海誠氏が、てらいなくこういう話を描けることに、正直、驚嘆した。いやはや。

たまには細かいツッコミは忘れて、美しい空が見たいと思う人にはおすすめ。
(渋谷シネマライズ 2004.11.28)

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ミニシアターの代表格みたいな映画館らしいのです、シアターキノ。 もう、やっている [Read More]

Tracked on 2004.12.11 at 12:56 PM

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