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2004.11.17

『まぶた』に宿る黒。

まぶた小川洋子
新潮文庫/新潮社 2004.11
420円 ISBN:4-10-121522-7
bk1 Amazon 楽天ブックス

本屋大賞、鏡花賞効果か、文庫があちこちで出てます。bk1はてなだったか、美しい話を読んだ気になるんだけど黒い、というのが気になって手に取ったら戻せなくなり(汗。(20041108)
よせばいいのにキッチンで読み始めてしまい、やめときゃよかったと思うのは読み進んでしまった後。いや後でするから後悔っていうんだよ、とかセルフつっこみしながら読了。
たしかに黒いというか、ふと気が付いてのぞき込むと底の見えない真っ暗な穴があるような、そんな短編ばかりだった。それは日常的というか、ささいで身近とも思える錯誤の重なりの影にあって。多くオンナの愚かしさや、ずるさから成り立っているのだが。その容赦のないことといったら、同性ならではかもしれない。
もっとも、穴の側で立ち止まってのぞき込みさえしなければ、描かれる世界は異様さを孕みつつも、あかるく広がって終わるのだ。
ああそうかと、今にして『ブラフマンの埋葬』を思い出す。いやうろ覚えですけども。
犬のようになつくブラフマンの正体不明っぷり、また主人公がそれをそのままに置くありかたが、はかり知れない孤絶感を覗かせるのだ。黒いといえば、黒いかもしれない。
いや、それも有りかと思わせる作品世界の明澄な空虚が、ほんとうはおそろしいのかもしれないが。

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