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2004.11.04

『指輪物語』人生のバイブル。

J.R.R. トールキン: 指輪物語 全9巻
人生のバイブル。『指輪物語』でしょ、やっぱり。追補編もお忘れなく。
今を去ること20年以上前、ラルフ・バクシのアニメ映画公開をきっかけに増刷された旧訳版に出会ってなかったら、ここまでヲタクにはなってなかったかな(笑。いや、そうでなくても本好きだっただろうと思いますが。
長い小説いまひとつでも大丈夫、今なら映画があります。百聞は一見にしかず。

19世紀末に生まれ幼少期を南アフリカで過ごした英国人J.R.R.トールキンには、すこしだけ人と変わったところがありました。とびぬけた言語の才能は後にかれを例外的な若さでオックスフォード英語大辞典の編纂に参加させ、のちに言語学の教授とするのですが。もうひとつ、かれにはひそかに作っている人工言語があったのです。それはエルフ語といいました。
完璧をもとめるあまり、かれはその言語を話すにふさわしい民族、語彙を生じるにふさわしい文化、語るにふさわしい伝説を考えました。それは世界をまるまるひとつ、考え出すことだったのです。敬虔なカトリックだったかれは信じる神と肩を並べることを望まず、その行為を準創造と呼びました。
それは人工言語の趣味の常として、人前にひろくはあきらかにされずに終わるはずでした。
仕事の合間に書いた『ホビットの冒険』が人気を博して版を重ね、版元から「このような物語を、もっと」という求めがなければ。
児童向け読み物『ホビットの冒険』のアイディアは、あるとき不意に教授のもとに訪れたのだといいます。その物語に奥行きを与えるために、教授はそれまで考えていたエルフたちの伝説から、ひとりふたりと出演者を選びました。かれの世界――ミドルアースの歴史の結節点にかかわる裂け谷のあるじエルロンド、周縁に位置しながら忘れがたい闇の森のエルフ王を。
冒険の続きを新たに考え始めたとき、ただ姿隠しの贈り物として物語に登場させたひとつの指輪を媒介に、壮大な神話世界は語られはじめたのです。
架空世界を舞台にした物語はたくさんあります。『指輪物語』以前にも、以後にも。それぞれに魅力はあり、面白く読めるし、またあこがれを掻き立てられもするのですが。しかしトールキンの準創造にかかる世界のように、ほんものの欧州の伝説に分かちがたく結びつけられ、そのカタチを含めて憧憬ごと踏襲したものを、わたしは知りません。
ひとの想念のなかで不変のドラマが、物語が、ゆたかな鉱脈をなしています。
そのひとかたならぬ世界が多くの人をとりこにし、クリエイターを魅了してきたのは、映画三部作の大成功を見れば、これ以上申すまでもなく明らかでしょう。
もしまだとおっしゃるのなら、自分の目で、ひとつ確かめてみませんか(笑)。

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