『書物の敵』それは……紙魚?いやいや
ウィリアム・ブレイズ/高宮利行監修/高橋勇訳
(A5判)/八坂書房 2004年10月
2400円 ISBN:4-89694-849-1
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書物の最大の敵は火、そして水、さらに人間である……(汗。
愛書家にして印刷人の著者が自らの好むところと、やるかたない憤懣を語った本がなぜベストセラーか不思議ではあったのだが。
つまりまあ、ヴィクトリア朝英国では識字率は上がり貸本屋もチャッププックもあったけど、ひとかどの蔵書を持つほどの愛書家は中流以上の知識人男性に限られていた時代であり、そういう人たちには共通する悩みであったから、ということだろう。自然科学系の観察や分類方法が徹底していない時代でもあるのは言うまでもない。
そして、本がまだ修理されては使われる耐久消費財だった時代の話ではあり、消耗品になりつつある時代の人間としては羨望と安堵を半ばとする複雑な心境にとらわれるのであった。
装丁と版元から心配するほどカタい本ではない。装丁が変わる前の講談社現代新書なら、あるいは、しかし東洋事情も必要だよな、とか思っていたら、おなじ原書を底本にしながら独自の解題部分が面白いという庄司浅水版『書物の敵』が講談社学術文庫で出ていた。品切れで読めないのはなんとも残念である。
監修者から『アーサー王伝説万華鏡』を、訳者から昔のユリイカのトールキン特集(版元在庫なし)を思い出してニヤニヤする人はいるだろうとは思うのだが。わが国西洋書誌学の権威のお弟子さんだからこそ、という種類の本ではある。
この本も解題が面白い。書物の新しい敵として、テレビとゲーム、ネットが挙げられている。なるほどしかり、ネットに嵌ると読書量は減るものだと、痛感するこのごろであった(汗。
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Comments
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