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2004.10.02

『不良の木』――野崎シリーズ

『雨は心だけ濡らす』(感想あり)、『風の中の女』つながりで読み始めた私立探偵野崎のシリーズ。
この野崎の事務所は何故か「人間研究所」なのだ。俺は探偵じゃない、人間を研究しているのだと言うのだが。
なんというか、このシリーズは最初、一心太助かい、と思っていた。
野崎の伯父は関西経済界の巨頭だし、小説に描かれるのは事務所に持ち込まれる普通の仕事、たとえば離婚調査なんかではなく、伯父の名で頼まれる大事なので、必然的に伯父の影がちらつくのである。
しかし物語はその伝家の宝刀のカタルシスではなく、持てる階層の、伯父の年代――ふつうの勤め人なら既に定年退職している年頃、ありていに言えば老人――の男たちが、失ったものをとりかえそうと、また、失えないものを失うまいと懸命にあがくさまを、描き出して見事だ。
人が年を取るのは、何かを繰り返し失っていくことだ。言った誰かは忘れてしまったけど、まだ覚えている。
いや、こんなこと考えるのは、喪失感に感情移入できる年齢になってしまったのだと、それだけのことかもしれないけど。

nozaki_v.jpg『不良の木』
北方謙三
光文社文庫/光文社
560円 ISBN:4334719465
bk1 Amazon 楽天ブックス

『明日の静かなる時』
北方謙三
光文社文庫/光文社
560円 ISBN:4334721273
bk1 Amazon 楽天ブックス

『ガラスの獅子』
北方謙三
光文社文庫/光文社
560円 ISBN:4334727476
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『不良の木』のみ版元在庫無し。ハードカバー版なら図書館でも読めるはず。
画像はベクターでみつけたフリーソフト画像連結を試してみたもの。直観的に使えるし、さすが人気ソフトな感じで。

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