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2004.10.03

『Edge 4 檻のない虜囚』

Edge 4とみなが貴和/緋乃鹿六
講談社X文庫White heart/講談社
630円 ISBN:4062557428
bk1 Amazon 楽天ブックス

このシリーズ、久々と思っていたら三年ぶりの新刊だった。主人公がプロファイラーだけに心理サスペンスとでも言うべき作品なのだが、相棒の特殊能力もありで、ハナシとしてはややSFに寄ってる感じは変わらず。
しかし4巻の事件はニュータウンでの犬殺しなのだ。臨海地に開発され住宅ばかりが続く街の閉塞感を体現するような少年の情動を追い掛けていく筆は、この三年の思いを詰め込んだように丹念であり、また共感に満ちて、ラストのカタルシスがすばらしい。こんなにうまく行けばと溜息混じりの感慨も呼び起こしはするのだが。
ひとことでまとめれば「親(がわり)だって人間だ。完璧ではない」って話なんだな。

誰だってつっこんで欲しくないところのひとつやふたつ、あるもので。見て見ぬ振りで済ませられるのを大人と言うのかも知れない。ならばそこにツッコむのは大人でない存在、すなわち子供なわけで。
ていうか反発してツッコむところまでいかないのが今の「いい子」たちなんだろう。そこを主軸に据える目線が、いいなあと思う。
しかし子供はもうひとり、いる。
相棒は重傷で車椅子に乗れないほどの障碍を負ったはずなんだけど。現代医学では分からない方法で見たり聞いたり歩いたりできるまでに回復はしている。その代償のようにそれまでの記憶を失っていて、文字通りゼロから成長し直す二度赤子状態なのだけど。カラダは大人だから、成長が早い部分もあるのだ。
主人公は自分が女性であることを耐えられないと思うに至る、たぶん精神的外傷を負っている。ふだんは振る舞いの上でも自分の女性性を無視することで平静を保っているのだが、これが元相棒の急激な成長で脅かされるんだな。
このシリーズ通したストーリーの軸がどう展開するのか、ラストのヒキもばっちりで(汗)、気に掛かる今日この頃である。それにしてもイラストさんが変わっているのにあとがきまで気が付かないってのはどういうもんか自分。

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