« 『へんないきもの』(20041013) | Main | 『紅茶を注文する方法』(20041015) »

2004.10.16

『物語消滅論 キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」』(20041013)

物語消滅論大塚 英志
角川oneテーマ新書/角川書店 2004年10月
780円 ISBN:4047041793
bk1 Amazon 楽天ブックス

こだわるなあ、というのはよくわかる最新刊。
前々回とその前はバージョン違いに思えたので、今度は何かプラスアルファがあるといいのだが。(20041016)

うーん、まず最初に「イデオロギーの消滅」ありき、というところか。
リアル歴史の進化論的因果律が行き詰まって、少なからぬ根拠をそこに置いていた旧来のイデオロギーが力を失い、リアルの人やら国やらの行動原理に理由がなくなってきた。人が他者を理解するに頼るものとしては、古い説話的な因果律しか存在しないのではないか、というのが、この本での提示というかプラスアルファか。
ハリウッド映画もそのストーリーの根幹と為しているように、説話的な因果律の説得力は絶大なものがある。その押しつけに対し自己が危機に瀕したとき、ひとはなにをもって対抗しうるのか。既知の近代小説の仕組みにしかない、という答えしか提示されていないように見える。
マス・マーケットでの売り上げを第一に考えられた、消費されるための装置としての物語ばかり読んでいては、世界に対して自分を位置づけ、さらに保つテクニックは身に付かないので。今教えられるテクとしては近代小説しかないんだよ、ということなのか。こう「気がする」ばかりの論では読み手も推測するしかないのだ。
しかしライトノベルも萌えツボ押しまくり小説ばかりではないはずだ。リアルな歴史と地勢図に身を置きがたい「わたし」の置き場を見つけるために、やみがたく書かれるものはあるはずだ。それを大塚は転向と言うのだろうか。
いや『キャラクター小説の書き方』では、マスマーケットでの売り上げを目的に書かれた小説でも、それ以上の何かを盛ることができるはずだ、と書かれていたように思えるのだが。(20041019)

|

« 『へんないきもの』(20041013) | Main | 『紅茶を注文する方法』(20041015) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/6266/1691440

Listed below are links to weblogs that reference 『物語消滅論 キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」』(20041013):

« 『へんないきもの』(20041013) | Main | 『紅茶を注文する方法』(20041015) »