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2004.09.24

『ビートのディシプリン』

『ビートのディシプリン』~
上遠野浩平/緒方剛志  電撃文庫/メディアワークス

このシリーズは、そう、生来の超能力者がいて、その行きすぎを防ぐため(と称して)能力者狩りを目的と掲げる謎の組織がある世界で。組織は能力者に対抗するために、能力のある合成人間を作っていて。狩ったり狩られたり、戦って死にそうになるかと思えば、裏切り者に助けられたり……という、なんというか凡庸なあらすじしか書けないのである。
上遠野作品を非凡たらしめているのはじゃあ何なのか。

たとえば、中高生の主人公、とりまく周囲の、かわいた無関心、相互的孤絶。無力感。
父母もない合成人間の宙づり感。道具として「生かされている」感覚。
感覚的に共鳴できるポイントは確かにあるのだが、つぶさにその細部が語られるのでなく、名前にすら現れる語りのリズムにひっぱられ、特殊能力にツッコむ間もなくラストへ突き進む。
このドライヴ感は、相当に研ぎ澄まされた文章に支えられているに違いなく。
描写の細密さでなく、共感と酷薄、光と影の鮮やかなコントラストそして危ういバランスに、読者は引きつけられるのだろう。
いや、北方作品を読んでいても思うのだけれど。ああ、本物だ、って。
説明できないのが悔しい。でも、上遠野だ。ほんもの。
以上、3読了時点の感想でした。


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『ビートのディシプリン Side2 Fracture』 641円
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