『ガブガブの本 『ドリトル先生』番外篇 』
『ガブガブの本 『ドリトル先生』番外篇 』 \1,890円
ヒュー・ロフティング/南條 竹則訳
A5判/国書刊行会
bk1 Amazon 楽天ブックス
ええと個人的には児童書のファンタジーで先生といえば、ドリトル先生のことだと思うのですがどうでしょうか(汗。
19世紀末のイギリスの博物学者にして動物医者ドリトル先生のシリーズは岩波から12冊出ているのだけれど、未訳ぶんがあったとは知りませんでした。東京ブックフェアの版元ブースでほぼ突進、手に取ってページを繰るなり、これ買う状態に。
同行者に笑われましたとも、ええ(笑。
いやしかし動物語を解するドリトル先生の活躍は地元イギリスにとどまらず、アフリカから絶海の孤島、さらには月(!)まで及び、動物ばかりの家族の会話の駄洒落と諧謔たるや、時には世情のやるせなさを反映させる。
まあ大人になってしまったからには、あの時代の人なりの限界が見えてくるのだけれど、大人の読者だからこそ、わかった上で読めるのだ。
本書は家族の一員、たいへんな美食家ことブタのガブガブが、ドリトル先生に心酔するあまり、著作をものするという野望にとりつかれ、夜ごと炉端でお話までもなぞってみせるのだが、これすべて食と食うことに関する話なのである。いやはや(笑。なかなかどうして、たいしたものである。
通読しても井伏訳そのままと思える訳者氏の芸達者ぶりは脱帽ものでした。
ドリトル先生を知らない人には何のこっちゃと思われる本ではありましょう。とりあえず図書館で『ドリトル先生航海記』とか。
児童書はちょっと、という向きには、作者ロフティングが生きて、小説にあらわした時代の英国に関する『ドリトル先生の英国』(南條竹則/文春新書)かな。博物学者ドリトル先生の小説にはやたらと植物やら動物やらの名前が出てくるわけで、それをどう日本語に移すか、そもそも何物なのかの探求にも触れられていて、博物好きには二度美味しい(笑。これは新刊当時に買ったはずだけど、はて、どこにいったやら。
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