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2004.04.06

Books:『神を喰らう狼』

024265840000S.jpgbr>『神を喰らう狼』 580 円
榎田尤利/イラスト:北畠あけ乃
講談社X文庫 White heart/講談社
bk1 Amazon 楽天ブックス

こりゃSFだ。しかもザ・デイ・アフターもの。
混合レーベルだし「榎田尤利」(エダ・ユウリ)で検索すると一目瞭然なボーイズラブ著書多数の作家だしで、てっきりそっち系かと思ってましたが。カバー折り返しの惹句に「ぼくはフェンのために生まれてきた」なんて書かれてるしね。
物語は少年の一人称、隔離された小島の隔離された環境でも、いとしまれ大事に育てられているかれの感情と心理を丹念に追い掛けていくんですが、その名前が「ボーイ」なんですな。ここでピンと来た人、アナタは鋭い。ていうかかなりSF読んでますね。
しかし物語の眼目は、カタストロフィ後に生まれたヒトの多くが絶えざる輸血や人工臓器を必要とする世界で、やがて到達する解決策のひとつの可能性の結果であると、ボーイが気づくところではないのだ(ううむバッチリ書くまいとするとまわりくどくなる)。
かれがそのあと、何を感じ、どう変貌するか、話は序盤のトーンと変わらずに進む。明澄に見えて閉塞感のある心理描写は時に息苦しく、もどかしさまでも感じさせてくれるのは、リアルではありえない存在である「ボーイ」の感情、全面的な帰属感から来る安堵感、そしてそれが虚構と知りつつ求める希求の情が、読者にとってリアルだからだろう、と思う。
ラスト27ページは答えの出ない問題に姿勢を示そうとしたのだろうが、帯の惹句もそこにつながるのだろうが。219ページがラストシーンでもよかったかな、と、ちらりと思った。でも、それじゃあんまりだよな……。
話にそれ気はないのだが、内面重視のボーイズラブちゅうか女子向けのとことん苦手な人には強いてはお勧めしない。そこまででもないと思う人はぜひ、冒頭30ページに耐えて読み進んでほしいとおもう。『イノセンス』とか、いろいろなネタやタイトルが脳内をかけめぐった一冊でした。

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