『レディの真実』ハーレクイン・ヒストリカル
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富裕な独身貴族アンバーリー卿は、ムーアのはずれのさびれた街道筋で、見過ごせない状況を目にします。銃を手にした男が四輪馬車を止め、降りてきた女性となにやら押し問答をしているようなのです。イベリア半島でのナポレオン戦争に将校として従軍、生還した彼は、帰還兵たちの苦しい生活も知り抜いていましたが、みすぼらしい身なりの女性を御者も馬丁も助けようとしないままにしておくわけにはいきません。
しかし銃を抜いて駆けつけた彼を、女性は気丈にも退けます。見た目には、金持ちの女性の貧しい付添人にしか見えない彼女に再会したのは、貴族の夜会の席でした。
美しく装い、ピアノを弾きながら歌う彼女の姿を、彼は人を欺く企みゆえと思いこみます。しかしその美しい声と姿、はたまた窮地を切り抜ける機知と勇気ゆえにか、余人にその疑いを告げぬまま、彼女の真意をはかろうと近づくのです。
謎の女性こと、ヒロインはイザベラ・ウィンスタンレー、貧しい付添姿は世を忍ぶ仮の姿で、実は富裕な相続人で、という種明かしは20ページも読み進まないうちに出てきます。ヒーローたるアンバーリー卿の視点では謎解きもありなのですが、物語の主眼は主役ふたりが相愛に気づくまでの胸の内のさぐり合いなんですね。なにしろ、ロマンス小説ですから。結末はもちろんハッピーエンドです。
このシリーズはいつも300ページちかいので、二転三転する筋立てに、ネタや運びによってはつきあいきれないこともあるんですが。自分のやりたいこと、自分らしさがはっきりしてるヒロインに、わかろうとする気持ちがある廉直なヒーローのとりあわせはわたし好みで、最後まで楽しめました。
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Comments
Keep this going please, great job!
Posted by: free music downloads | 2015.04.03 07:48 PM