『霧のむこうのふしぎな町』柏葉幸子;講談社文庫
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小学校六年生の夏休み、リナはただひとり旅に出ます。
お父さんが昔世話になった人がいるという霧の谷をめざして。
迎えもいない山の中の駅から、駐在さんが書いてくれた手書きの地図をたよりにたどり着いた森のなかに、霧の谷はありました。
しかしそこには下宿屋と、因業そうな女主人がいて。リナに「はたらかざるもの喰うべからずだよ」「じぶんで稼いだお金じゃないとだめ」と迫ってくるのでした。
ふしぎな霧の町の住人たちの手伝いをして暮らしながら、リナはいつしか、自分が変わっていくのを感じます。
風変わりながら魅力的な霧の町の住人たちに導かれるように、引っ込み思案でけして要領がいいとは言えない少女の、そう、目覚めの物語が語られます。
1975年に講談社児童文学新人賞を受賞したこの作品を覚えている人も多いでしょう。
なぜ今また新装再版かというと『千と千尋の神隠し』の監督が「発想のきっかけをもらった」という一言のせいらしいです。使われかたからよく似たモチーフは見受けられますが、監督自身が「映画化をめざして果たせなかった」と言うように、まったく別の物語です。
死のかげり、異性との差異の目覚めのひらめきが加わり、深化させたとも言えるでしょうが。そんなの大人の思いこみと押しつけかもな、と、この本を読んでいてこっそり思ったのは秘密(笑
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